大人のためのジムを(会員募集)
”逃れよ、あなたの孤独の中に!彼方の、荒く雄々しい風の吹くところに!(ツァラトゥストラ)”
大人が通えるジムが見当たりません。
筋トレブームとやらが、すべてのジムを子供と、子供じみた大人のためのレジャー施設にしてしまった。
トレーニング器具を「ボクのオモチャだ」とばかり独占する人。
反抗期の子供のように、妙な威圧感を漂わす人。
女性を凝視する人。
群れをなしてはしゃぐ人々。
これではちょっとな、とパーソナルジムに行けば露出趣味にご熱心なトレーナーの密着指導が待っている。
まるで檻のない動物園です。
アジールとしてのジム
実は私は、こうした「ジムの動物園化」を悪いこととは思いません。
なぜなら、これは利用者が求めるものから形作られた「たんなる現実」にすぎないからです。
宗教施設などの、社会規範から逃れられる場を「アジール(社会の外)」といいます。
いまのジムはまさに、会社・学校・部活動といった、他人の目で雁字搦めにされた息苦しい社会におけるアジールなのです。
だからジムでは動物的・本能的に振る舞った者勝ちであり、ルールだマナーだと言う方が野暮というものです。
ガンガン露出し合い、威圧し合い、時には取っ組み合い、自由恋愛に大いに励んだら良いのです。
山巓の住人のために
ところが困ったことに、ヨンデーにはそうでない大人ばかりが集まってきます。
誰もが真剣にトレーニングに没頭して、限界を乗り越えようとする。
精神論混じりの鬱陶しい食事指導など行わずとも、当たり前に5kg10kgと減量していく。
トレーニング指導者はSNSで尻を露出しないし、タンクトップも着ない。
理想主義的なトレーニングを突き詰めてみたら、こんな風になってしまったのです。
してみるとヨンデーは、山巓の凛冽な空気を好む大人にとってのアジールなのかもしれません。