トレーニングの勉強法

トレーニングを勉強してみたいという相談をよく受けます。

職業としてのトレーナーを目指すのでなくとも、トレーニングを学ぶことは自身への愛着を深め、ひいては人生を豊かにします。

さてトレーニングの勉強とは専門用語の語彙を増やすことです。

たとえばトレーニングフォームの良し悪しを判断するには、少なくとも「長さ‐張力関係」の理解がいります。

長さ‐張力関係の理解にはまずフィラメント滑走説の理解がいり、フィラメント滑走説の理解には生理学の基礎知識がいる。

さらに不正動作を見分けるには機能解剖学やバイオメカニクスも頭の隅に置いておく必要があります。

このように、一つの専門用語が指し示すものと、それに連なる膨大な専門用語群を体系的に整理し、頭に入れていくことがトレーニングの勉強の基本です。

こうした原則を踏まえて、実戦的なトレーニングの勉強法を紹介します。

1)教科書で学ぼう


勉強の基本は教科書を読むことです。

信頼のおける資格認定団体の教科書を読むことで、内容の信頼性が団体によって担保された「正しいトレーニング」を学ぶことができます。

中でも「NSCA パーソナルトレーナーのための基礎知識」(NSCA)は良書です。

運動生理学からエクササイズ・プログラムまでトレーニングの基礎知識が整理されており、何より索引が充実していて辞書のように使えます。


NESTA(写真)やJATIの教科書も魅力的ですが、それらは難解な部分の説明が簡潔に過ぎる嫌いがあり、基礎知識がないと独習は難しいと思います。

なお町の本屋で2000円前後で買えるトレーニングの入門書は、著者のレベルも内容も玉石混交であり、そもそも情報量が少なすぎて教科書代わりにはなりません。

2)語彙を増やそう


専門用語の語彙を増やすために私がやってきたことは、教科書の巻末にある索引の全用語を人に説明できるようにする練習です。

自分の言葉として人に伝えられるレベルまで腑に落とすことで、理解が徹底的に深められるのです。

正解の肢を選ぶだけの資格認定試験ごときでは、自分の言葉、自分の語彙をつくれません。



理解の悪いところは参考書籍を求めたり、国内外のウェブサイトを渉猟するなどして潰していく。

一つの専門用語を理解するために、付随する専門用語を理解していく。

そのうえでアウトプットの訓練をする。

こうした際限のない積み重ねを繰り返すと、トレーニングへの深い理解に降りていくことができるようになります。

バーベルを挙げるとき、体内では何が生起しているのか。

我々の祖先は、どんな経緯を経て我々に今の姿を手渡してきたのか。

せっかくトレーニングの世界に触れるのであれば、単に重りを上げ下げして筋肉が増えた減ったといった次元を超えて、生命の奇蹟ともいうべき世界を垣間見てほしいと思うのです。

さあ知識を実装しよう


さあ、思い立ったら勉強を始めましょう。

会員の方には教科書を安くお頒けできますので、ご希望の方はお声がけください。